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小麦粉と卵の生地の中に明石名物のタコを加えた卵焼き。
兵庫県の郷土料理で、「明石の卵焼き」ともいう。

姿や形はたこ焼きに似ているが、入れるのはタコだけで、たこ焼きのように天カス、刻み葱、紅ショウガ、青のりなどは入れない。
また、熱いうちに昆布やかつお節のだし汁をつけて食べるところが異なる。

◆江戸時代にべっこう職人が卵白を用いた「明石珠(アカシダマ)明石から産出する珊瑚珠に模して製した練物」を考案した際、余った卵黄で卵焼き屋をはじめたのが起こりといわれる。


(参考図書:『日本料理大事典』、岡田哲著『食べもの味探求事典』、『広辞苑』ほか)

<避難小屋...だからこそ、明石焼き>

夏の山小屋。
午前2時ごろからシャワシャワと寝袋がこすれる音、続いて遠慮がちにゴソゴソと動き始めるひと、人。
そう、登山者にとっては午前2時は当たり前の起床時間で、早く出て早く着く、は鉄則。
ヘッドライトを頼りにまだ暗い霧の中を戸外に出ていき、空を仰ぎながら今日の天候について登山者たちの軽い会話が始まる。

コッフェルに湯を沸かし腹ごしらえを終えると、荷物をととのえて「お先にー」とそれぞれが目的地に向かって歩きはじめる。
東の空はだんだんと明けていく。

これが出発前の当たり前の風景。

でも、こんな日ばかりとは限らない。
何としても出発したくない悪天候の日もある。

ところは北海道大雪山、トムラウシを目指す人たちも泊まる一つとされている「忠別小屋」でのこと。

山口県から単独で登ってきた80歳になるという男性。
携帯電話も持たないその人へ「下山したら、家族に電話しとくね」などと世話をやく地元男女のグループ。
最後に、ガイドの案内で滑り込んだ単独の女性、総勢10人ほど。
それぞれの地域からそれぞれの思いをリュックに詰めてやって来た人たちが、小屋の中にとどまった。

クマに出会った話、危険な場所、装備のことなど、ひとしきりの会話の後に話は途切れる。
時間はたっぷりある。顔をみつめ合っていてもしょうがない。

そんな時、ふるさとの名物は?と積極的に問いかけてみる。

そりゃあ、「あかし焼き」と、単独登山の女性。
「アノ、たこ焼きみたいな・・・」と言いかけた私の言葉を遮って
「ちがう、全然ちがう!」と先ずは先制攻撃を食らった。

「たこ焼きは小麦粉の味、あかし焼きはたまご味。ふわっ、とろっ、タコのコリ!
これをだしにつけて口に入れると、つるりと滑り込む」のだそうだ。
顔全体で美味い、と言っている。

そうかそうか、いつか本場明石の「魚の棚」へ行かねば!

そんな話を関西出身のKさんにすると、お馴染みの食べ物だと言って早速作ってくれた。

ふわっ、とろっ、コリ。
これにムチっ、が加わって、思い描いていた通りの食感!

驚いたのは、
それが漆塗りの平皿に上品に盛られていて、だしが別椀に添えられていたこと。

たこ焼きと形は似ていても、屋台で食べるたこ焼きに対して明石焼きは畳の上でも食べる。
というkさんの説明に大きく頷いた。

かくして私の「あかし焼き」は、あの時の山小屋の情景とkさんの思い入れを一緒食べるものとなった。

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