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三代将軍、徳川家光がお忍びで馬駆けしてきた折に、目黒の茶屋で下魚とされていたさんまを食べた。
焼きたてのその味が忘れられず、日本橋の魚河岸から取りよせさせたが、味は今ひとつ。そこで殿様は「サンマは目黒にかぎるのう」といったという。古典落語の一つ。
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<目黒のサンマは疲れるのう!>

「目黒のサンマ祭り」新聞のチラシに威勢のいい文字が踊っている。「食べて笑ってお代は無料!」にも後押しされた。
あわよくば、「さんまを食べて落語をきく」こんな日もあっていいな。

そうと決まれば目黒へ急げ、と歩き始めた。
目黒駅近くになると煙がもうもう...というよりも、ちょろちょろ。
煙元を確かめようにも人波が行く手を阻んでしまうほど。

焼きあがりを待つ長蛇の列は上大崎の交差点を曲がって五反田方面へ伸びる、伸びる。

これではサンマが足りん!と怒っているおじさんも、実は腹のそこから怒っているのではなさそう、イベントを丸ごと楽しんでいるように見える。

私はというと、サンマがダメなら落語に絞ろう、二兎を追っては元も子もない。

そうは言ったものの、こちらも整理券を片手に待つこと二時間。ここぞといわんばかりに、きゅうり売りが割り込んでくる。

箸に刺した丸ごと一本を氷塩水?を張ったボウルから取り出しているのを目の当たりにすると、そりゃあ、たいていの人は欲しくなりますよ。
9月とはいえ、うだるような暑さでしたから。

やっと案内された先は八幡神社に設えた仮席。
座るやいなや、噺家の流れるような声が耳に心地よく白河夜船の世界をさまよった。

...拍手とざわめきの中で、椅子から立ち上がるスチールの音で現実世界にもどった次第。

ヤレヤレ、目黒のサンマは疲れるのう!

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