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アカバナ科の一年草水草。
池や沼などの水面に菱形の葉を放射状に広げて浮いており、この葉の中心から伸びた茎の先に花が咲く。実を食用にするが、緑色の未熟果は生で、黒褐色になった熟した実は堅いので茹でて皮を剥いて食べる。
名前の由来は、葉や実が菱形だから、実がひしげた(押しつぶされた)形だからという説がある。
◆ アイヌの言葉でベカンベ(水の上にあるもの)という。北海道、塘路(トウロ)湖畔の住民には馴染みが深く、昔は主食として大事な食糧であった。採取は「ベカンベ祭り」を催してから始めるしきたりだという。
◆ 江戸時代の本草書『本朝食鑑(ホンチョウショッカン)』には「若いとき剥いで食う。甘美である。老いたのは蒸し煮して食べる」とあり、強壮、鎮痛、などの効用も記されている。アジア各地の湖沼に生育しており、漢方では果実、果皮、果肉、茎の全てが薬用として利用される。
(参考図書:山野草カラー百科。世界の食文化、中国。ほか)


<そういえば・・・>
黒褐色をした立体的な形は手裏剣のようにも見えてなかなかの個性派だ。見ようによっては奇妙、目にとまったら立ち止まりたくなる食材。
鹿児島県伊佐市菱刈町。
菱刈町役場で訊ねたたところ、江戸時代の地理書に旧地名「菱刈郡」の名の由来について「この土地はおそらく菱が多く取れるからではないだろうか」との記述があるとのこと。今では衰退して殆ど収穫されていないという。代わって佐賀県神埼市ではハンギー(たらい舟)に乗っての収穫が観光スポットになっている。
茹でて堅い皮を剥がして生成り色の実を食べてみたが、栗のような、ヘーゼルナッツのようなでんぷん系の味がした。この味と、少しのシャリ感は日本人好みだと思うのに、なぜか東京都内の店頭でもあまり見かけない。
一方、諏訪湖では繁茂した菱が厄介者扱いされていて、これを駆除して堆肥として利用しているという。食糧として活用されないのは、それなりの理由があるのだろうけれども...。もったいない!と思うのは私だけなのだろうか。

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